知られざる

「烏山頭水庫のほとり」
台湾の世界遺産候補地の中に、日本と深い関わりを持つ史跡や国立公園がいくつか入っていることは、私たちにとっても大変嬉しいことです。それらの地を訪れると日台の絆を改めて感じることができるのではないでしょうか。
第一回の取材撮影に私たちが烏山頭水庫(ダム)を選んだのも、日台共通の文化遺産として広く知られているからです。八田輿一技師は、1930 年、44歳の時に灌漑面積東洋一の規模を誇る烏山頭ダムを完成させました。コンクリート壁を露出させないセミハイドロフィクフィル方式を採用したため、ダム湖の堤防は緑で覆われ、周囲は木々が群生しています。まるで太古からそこにあったような景観と静謐さを保っているダム湖は、その形から「珊瑚潭」と呼ばれているのです。
2012年12月3日~6日まで台南市政府の協力を得て、台南県の烏山頭ダムの撮影を敢行。昨夜来の雨もすっかり上がり、珊瑚潭の全容をパノラマビューに収めることができました。パノラマ左のタブをクリックするとグーグルマップが出てきますので、形状を確認してみてください。

「八田與一銅像」
烏山頭水庫を見下ろす公園に、八田與一技師の銅像と、八田ご夫妻のお墓があります。
ここで私たちが感動したのは、広大な公園を清掃する地元の人々の姿でした。 朝の小鳥のさえずりの中、ほうきを動かして落ち葉を集めて回り、八田輿一の銅像周辺は特に念入りに掃き清めていました。
「八田さんは台湾の農民のために働いた人だから」「おかげでこのあたりは米作地帯になって、暮らしもうんと楽になったと祖父母から聞きましたよ」 「台湾人の誰もが感謝しているでしょうよ、それほど彼は大切なことをやりとげてくれました」
掃除の手を休めて口々にそう言うのです。小さい頃から聞かされてきた八田輿一の功績を銅像やダム湖に重ねて、いまも大切にしてくれている地元の人々。彼らのひとことひとことは、烏山頭水庫の大気同様、すがすがしくて心が洗われるような気持になりました。日台共通の史跡を支えているのは、こうした人々なんですね。
八田輿一は可憐に咲くサクラを脇に、没後も仲間と完成させた珊瑚潭(ダム湖)を日がな一日眺めています。なんと幸せな技術者なんでしょう!!
無言で続ける作業は、心地よい緊張感が張り詰め、耳をそばだてていると野鳥のさえずりや風が渡る音が遠くから聞こえてくる。 「集音マイクがあってもよかったな」小久保さんが言うように、烏山頭水庫の風景区は自然がたわわで、空気も澄んでいます。

「八田與一記念園」
八田技師紀念園は2000年に嘉南農田水利会*によって建設されました。 年々整備が進み、園内には銅像や記念館の他、あずまや、散策路などがつくられ人工湖の美しさを堪能できます。
当時、工事関係者が住んだ住宅を再現。與一が作業員の福利厚生のためにつくったと言われるテニスコートもあります。

「八田與一記念室」
八田與一宅を再現した部屋には、與一の学生時代の写真や成績表、遺品、外代樹夫人の学生時代の成績表、八田家の家族写真、烏山頭水庫工事写真、灌漑水路図等々、加えて八田與一の出身地である石川県や金沢市をはじめ日本国内や台湾で発行されている八田與一に関する資料なども展示されています。

八田輿一技師の住まいを再現した日本家屋で撮影。日本人技師の家並みを再現するにあたって、昭和初期の家具を寄付するなど、金沢市民をはじめ日本側も大いに協力したそうです。
八田與一の素晴らしい人柄を表すエピソードについては、ここでは触れませんが以下の関連サイトにも一部のっていますので是非ご一読ください。
〜烏山頭水庫関連サイトはこちら〜


烏山頭ダムを訪れる時に拠点地となるのが台南市。数えきれぬほどの廟と寺院と古跡がひしめく台湾の古都台南には、世界遺産候補地ではないけれど、文化価値の高い史跡がひしめくエリアだ。

赤崁楼(プロヴィンティア)もそんな史跡のひとつ。17世紀にオランダ人によって築城された砦である。



そして、台南市からバスで30分ほどの安平には、オランダ人が築いたもう一つの拠点。台湾で最も古い砦。安平古堡(ゼーランディア)の遺跡がある。
パノラマビューを開いて、右上にあるリストメニューの切替えで、旧城壁のパノラマも見る事ができる。


さて、安平古堡老街のにぎわいをよそに奥へ入り込んでいくと、いつのまにか時間の迷宮へ・・・。



安平の老街を歩くと、サンゴを使った石塀と剣を加えた独特の魔除けが特徴の伝統的な家並みが続く。

ところで、我々取材チームが、3泊4日のハードなスケジュールをこなせたのは、朝昼晩の台南小吃の数々だった。とにかく、食い倒れてしまうくらいに旨い、安い!
何を食べてもはずれなし!台南は、特筆すべき名物が無尽蔵にあるので、小さな店を何軒もゆっくり時間をかけてまわろう。特に廟のそばには必ず旨いものがひしめいている。

隠れた台南名物「大腸(ダーチャン)」は、糯米を腸詰めにしたさっぱり味のおつまみ。ボイルしたイカやソーセージ、ダイコンが盛り合わせてあり、辛子醤油で食べる。台湾ビールと相性めちゃよし!

おなじみ台南坦仔麺。香菜を入れると一段と風味が増す。写真は魚丸(つみれ)と煮卵をトッピングしたもの。

朝から牛肉ご飯に牛肉スープなんて食べられないなんて言ったら絶対後悔する!台南の牛肉ご飯は、どんなに前の晩に飲み過ぎていてもぺろっと食べられるのだ。 取材チームのやる気を引き出したパワフルな朝ご飯。「ホーチャー」(旨い!)です。

台南市海南路のストリートアート。行政が後押ししているせいか、大胆なペインティングが街を飾っている。



古都台南を象徴するような旧市街、神農老街。
レトロな街並みが100m程続いている小路。
今では地元のアーティストのアトリエや、小さなショップや飲食店が軒を連ねている。夜の風情も素敵なので、ぜひ、夜、昼と訪れてみてほしい。

台南は三歩歩けば廟というぐらい廟の多い街。
どの廟にも大きな香炉が設けられていて、信心深い参拝者の焼香が絶えない。



それぞれの思いが灰になって積もっている・・・。



お世話になった台湾市政府のみなさんと。你們的幇助、非常感謝!

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