壮大な自然景観と豊富な動植物の生態系
台湾の東部花蓮縣に位置する「太魯閣国立公園」は、総面積920㎢、その広さは行政区画上の台中市、南投県まで及びます。
中央山脈と合歓山の間から流れて太平洋に注ぐ立霧渓が、長年にわたって侵食したことで、厚さ1,000m以上、距離にして10km以上に及ぶ大理石の深い渓谷、雄大な断崖や河岸段丘、広々とした沖積扇状地、峡谷などの地形が生まれました。
垂直の断崖、荘厳な滝など圧倒的な自然美を体感できるので、「太魯閣国立公園」には世界各地から年間約400万人の観光客が訪れています。


公園内では、石灰岩の生成と大理石の形成過程から台湾最古の地質時代が観察できます。
また、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの継続的なぶつかり合いによって地殻は絶えず上昇し、加えて下刻力の強い立霧渓による長年にわたる削り出しと侵食によって、生態系や動植物群集の進化に影響を及ぼし、現在においてもなお進行中です。
この類いまれな景観や豊かな生態系が、世界遺産登録の基準7(ⅶ)、および9(ⅸ)に適合します。
また、太魯閣渓谷は、その高低差と風の通り道であることから複雑な気候帯が生まれ、2,000mを超える山々では希少な植物も生息。人的破壊が及ばない原生植生や原生林により、動物の種類と数量も非常に豊富です。このことは世界遺産登録の基準ⅹを満たしています。
しかし、2024年4月3に発生した台湾東部沖地震で山崩れが多発し、道路も各所で寸断しており、その後公園は閉鎖することに。復旧までは少なくとも5年はかかると言われていますが、正確な見通しは立っていません。
