台鉄旧山線

台湾総督府は基隆から台北、新竹、台中、台南を経て高雄に至る縦貫鉄道の建設を1899年から始めた(清朝時代、既に基隆~台北~新竹には鉄道が敷設されていたが、粗悪なものだったため、新設工事となった)。

縦貫鉄道の建設は北の基隆と南の高雄から同時に始められ、台中北部の豊原で合流する予定であったが、最後に残った区間が「山線」と呼ばれる三義~豊原間となった(正式名称は、「台中線(竹南駅~彰化駅)」の一部である)。

この区間は海岸近くまで丘陵地帯となっている上に、ひとたび雨が降ると、大安渓を初めとして橋脚工事がままならない河川が何本もある。現在の「新・山線」のように丘陵地帯を一気にトンネルで抜けられれば問題ないが、時代は100年以上も昔である。

2000年頃から台湾は観光地ブームが興り、台湾の鉄道ファンによりこの旧山線も徐々のメジャー化、龍謄断橋付近には屋台が軒を並べ、勝興駅の周辺には多くの飲食店や土産物屋が出店している。台湾鉄路局もこの路線を有効利用すべく2010年には蒸気機関車牽引の観光列車を走らせるというイベントを実施し、内外から「台湾の鉄道ファン」が殺到、マスコミにも大きく採り上げられ、さらに有名になった。

旧山線が完成した1908年当時、架橋技術が未熟だった中、上流の比較的狭い河床と比較的固い地盤を利用して、山を縫い、橋で川を越える難工事に挑戦しました。その工事は台湾の鉄道工事技術史上、最大の勾配、最もきついカーブ、最長のトラス橋、最長のトンネル群などの建設が伴う偉大なもので、世界遺産登録基準第1項に当てはまります。旧山線の東側は関刀山系、西側は火炎山系に面し、両側の丘陵が作り出した曲線と坂のある地形、質素な人々の暮らし、古跡、さまざまな植物が織り成す自然景観は、旧山線が台湾の鉄道文化の発展上または文化的・歴史的価値の上で2つとない地位を確立しており、こちらも世界遺産登録基準第2項に合致しています。

引用元:台湾鉄路管理局旧線-Potential World Heritage Sites in Taiwan (boch.gov.tw)

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